国税庁で公表している令和元年の相続税の申告状況によりますと、相続財産に占める土地の割合は約35%程度と平成22年の50%程度か15ポイント程度減少していますが、依然として高い占有率になっております。
そうすると、遺産分割や相続税の納税対策として不動産を処分や物納することも念頭に入れておかなくてはなりません。
相続が発生すると、相続税の申告は10ヶ月以内に行わなくてはいけませんが、不動産の処分や物納するには、隣地との境界を画定しておくことが条件となっているため間に合わないというケースもありえます。
いざ、というときに備え生前に隣地境界線の画定をされておくことをお勧めしております。
そのほかにも隣地境界線を画定しておくことのメリットがありますので、以下にまとめておきます。
メリット1:隣地境界線を画定させておくことで売却が容易になる!
不動産の売却には、土地の面積を確定させておくことが必要となります。土地の面積の確定には、隣地の所有者との境界画定が不可欠です。この手続きには、思った以上に日数がかかるものです。特に地価が高い地域はその傾向が強くなります。稀に隣地境界線が未画定の土地を買い取る業者もおりますが、安く買い叩かれるのが落ちです。生前に隣地の境界を画定させることで、売却もスムーズになり、売り急ぎで安く買い叩かれるリスクも軽減できます。
メリット2:物納適格財産になる!
相続税は金銭納付が原則ですが、金銭納付が困難な事由がある場合で延納によっても納付できないと認められるときは、税務署に一定の申請をすることで土地などの相続財産で納付することができます。
しかし、土地なら何でもいいというわけではなく、隣地との境界が未画定の土地は物納できません。
物納には、隣地との境界画定が不可欠なのです。
メリット3:相続財産を減らすことも可能?
隣地との境界を画定させるには、測量等の費用がかかるケースがほとんどです。測量費等は数十万円~数百万円と高額です。仮に測量費等が500万円ですと、相続税の税率は10%~55%ですから、50万円~275万円節税することが可能です。
この隣地との境界画定を相続後に行った場合は、相続人が負担するため節税にはなりません。被相続人が生前に行うことで節税になるのです。
最後に問題になるのは・・・
被相続人と隣地の所有者との仲が悪かったりすると、その関係を相続後も引きずって、隣地境界線の画定がままならないケースも多々あります。その原因は当事者同士しかわからないケースも多いので、やはり被相続人が生前に行っておくことが子孫のためにもなるのです。
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このコラムは、令和3年年1月1日時点の法令により作成しているため、今後の法改正により異なる取り扱いとなる場合があります。
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