株式の電子化や特定口座制度の創設に伴い上場有価証券や投資信託は、証券会社や銀行に残高証明書を取得すれば、おおよその把握ができますが、配当を現金で受け取っていたり、名義が先代のままになっていたりで把握できない場合があります。
この場合は次の方法により把握することができます。
証券保管振替機構による証券口座の有無の確認
証券保管振替機構では、証券会社や銀行から当該証券会社等に口座を開設している者の氏名・住所等の情報を受領し(口座開設者の同意が必要で、開設時のあの細かい約款に同意の記載がされていることが多く、開設と同意が同時に行われているのが実情です)、その情報を登録簿に記録して管理しております。
この登録簿の開示請求することにより、その人が開設している証券会社や銀行等を把握することができます。
ただし、開示情報には、株式等の保有情報はございませんので、別途開示された証券会社や銀行等に残高証明を取得することで、把握できていない上場有価証券の存在を確認できる場合があります。
5年以上継続して配当を受領していない株式
事例として被相続人が転勤族の場合に多いのですが、会社から株主の登録された住所に郵送物等を発送しても到達せず、継続して5年以上配当を受領していない場合は、発行会社は所在不明株主として登録します。
所在不明株主になると、会社は公告やホームページ等への掲載などの一定の手続きを経ることで当該株式を売却することできますが、売却された株主は、株主としての権利は失いますが、10年間は売却代金の請求をすることが可能です。
この売却代金請求権は相続財産として把握する必要があります。
所在不明株主は、株主名簿管理人である信託銀行で管理されているため、信託銀行に確認することで把握することが可能です。
・・・とはいっても、「そもそも株式の存在を把握できていないのにいちいち信託銀行に確認することが手間」と考える方が多いと思います。
そのようなときは、「一般社団法人所在不明株主支援機構」のように有料ですが、まとめて確認できるサービスを提供している会社もあります。
特別口座(特“定”口座ではありません)で管理されている株式
主に株式の電子化の前に行った株式分割等で発生した単元未満株(最低売買未満の株式)の株式や、株式の電子化に応じなかったタンス株式に多いのですが、証券口座で管理されていない株式があります。
当該株式は株主名簿管理人である信託銀行で「特別口座」勘定で管理されています。
当該株式の把握方法としては、当該会社のホームページで株主名簿管理人情報が記載されているので、その株主名簿管理人に電話等で照会をかけることにより把握することができます。
渋谷広志税理士事務所・行政書士渋谷事務所のサービス
以上の手続きは、有料ですが、相続税申告手続きの一環として当事務所が代行することも可能です。気になる方はお問合せください。
このコラムは、平成29年4月1日時点の法令により作成しているため、今後の法改正により異なる取り扱いとなる場合があります。
また、専門的な内容を判り易くするため、敢えて詳細な要件などを省略していることもあります。本コラムに記載されている内容を実行する際は、当事務所までご相談ください。