相続税の申告期限までに分割協議が調わない!

私の家族に限って大丈夫と考えているあなた!こんな統計データがあります

令和元年の最高裁判所の統計資料によると、5,000万円超の遺産総額で調停が成立した遺産分割事件は1,312件ですので、調整が成立していないものも含めると分割協議が整わない相続は相当数あることが推察されます。

遺産の価額が5,000万円を超える場合には、ほぼ相続税の申告義務がある事例と推認できます。そうすると、調停が成立するまでの時間を考えると、相続税の申告期限までには遺産分割協議は調っていない可能性が非常に高くなります。

遺産が未分割の場合の相続税の申告はどうするの?

遺産が未分割の場合、民法第900条から第903条の規定による相続分に応じて、遺産を取得したものとして相続税の申告を行います。

例えばご主人が亡くなって、相続人が奥様とお子様二人の場合は、遺産を奥様2分の1、お子様は4分の1ずつ相続したものとして相続税の申告を行います。
なーんだ、法定相続分での申告なら変わらないと考えた方!注意が必要です。

遺産が未分割だと、相続税の申告や、その後相続財産を処分するときの所得税申告で不利益を被ことがあるのです。

遺産が未分割だとどんな不利益があるの?

以下のような特例が受けられないなどの不利益があります。

例えば・・・

≪相続税の申告時≫

① 配偶者の税額軽減...配偶者の相続分が最低1億6千万円まで非課税になる制度。
② 小規模宅地の特例...土地の相続税評価が最大で80%OFFになる制度。
③ 農地等の相続税の納税猶予...農地等に係る相続税の一定額を納税猶予する制度。
④ 非上場株式等の相続税の納税猶予等...非上場株式等にかかる相続税の一定額を納税猶予する制度。
⑤ 物納の可否...財産の所有権の帰属が確定していないため物納できません。

また、その後の

≪所得税の申告時≫においても

 相続税の取得費加算の特例...相続した遺産を一定期間内に譲渡した場合に、その譲渡財産にかかる相続税相当を取得費に加算することで、所得税を軽減する制度。   等

そうならないためにはどうするか?

遺産分割協議を成立させるには、相続人全員が参加して、その全員が合意する必要があります。

相続人を"争族"に巻き込まないためにも、遺産分割協議をすることなく遺産分けを可能にする、遺言書」が有効です。

 特に、相続人に次のような方がいる場合は遺言書は非常に有効です

 行方不明の相続人がいて相続人全員参加が困難な場合
 再婚等で相続関係が複雑であったり、認知症の方がいて相続人全員の合意が期待できない場合
 親の介護をした相続人に多くの財産を残したい場合

渋谷広志税理士事務所のサービス

 当事務所では、円満な相続と節税のバランスを考えた遺言書作成にあたって、次のステップでお手伝いします。

ステップ1. 財産調査と現状の相続税の試算

ステップ2. どの財産を誰に遺すかの特定、資産の組換えと生前贈与などの検討

ステップ3. 遺言書の作成

ステップ4. 計画の実行

ステップ5. 法改正への対応と定期的な見直し※

 すべては、円満な家庭を相続させるために...。当事務所はお手伝いします。

 

このコラムは、令和3年4月25日時点に施行されている法令等により作成しているため、今後の法改正により異なる取り扱いとなる場合があります。
また、専門的な内容を判り易くするため、敢えて詳細な要件などを省略していることもあります。本コラムに記載されている内容を実行する際は、当事務所までご相談下さい。