オーナー社長は退職金を活用しよう!

会社から多額のお金を受け取るには

 株主である代表者やその家族が、自身が経営する会社からのお金を受領する方法は、①給与として頂く②配当金で頂く③株式を買い取ってもらう(金庫株)④退職金で頂く の計4つが考えられます。
このなかで会社をリタイアするときに多額のお金を受領するのに適しているのは④の退職金です。

なぜ退職金がいいのか?

 退職金として受領できる金額が多いにも関わらず、給与や配当と比較して税金が2分の1程で済み、おまけに支払側の法人では、課税上弊害が無い限り経費(損金)になることです。

どのくらい受領できるか?

 退職金の計算方法は一般的に次の計算式で算出します。(注)
役員退職金=最終(平均)報酬月額×勤続年数×功績倍率(1.0~3.0)
例えば、報酬月額が200万円、勤続年数40年の創業代表者で功績倍率(注)を3.0とすると200万円×40年×3倍=2億4,000万円となります。
(注)税制上の適正額か否かは、そのときどきの事業環境等にもよりますので実際に実行される際は当事務所までご相談ください。

税金はどのくらいか?

 退職金に係る税金は、給与などとは別に計算される分離課税で、次の算式で計算します。
退職所得金額=(退職金支給額-退職所得控除額)×1/2
退職所得控除額は、
① 勤続年数20年以下の場合…40万円×勤続年数
② 勤続年数20年超の場合…800万円+70万円×(勤続年数-20年)
仮に、先の退職金2億4000万円の例ですと、退職所得は1億900万円=(2億4,000万円-2,200万)1/2で、税金は、所得税・住民税・復興特別所得税の合計で約5,250万円(平成27年以降は約5,600万円)と25%以下になり、給与で受領したときの約1/2となります。これは、退職所得の計算で1/2にできる効果です。

法人税の節税になる

 支払う法人側では、株主総会等の決議を経て、税務上の適正額であれば経費(損金)にすることができ、約35%の法人税や法人地方税を節税することが可能です。仮に損がでても、その損失は9年間繰り越すことが可能ですので、将来の利益を相殺することで同様の効果が得られます。

死亡退職金の場合は?

 退職金を生前に受領した場合は、所得税が課税されますが、死亡退職金として遺族が受領した場合は、相続税課税対象となりますが、500万円×相続人の数 が非課税財産となるメリットがあり、さらに弔慰金として業務上の死亡であれば、死亡当時の普通給与の3年分、それ以外の場合は半年分は相続税の課税対象になりません。
 しかし、支給を決定するのは、会社の後継者となり、受取人と後継者が異なる場合は、利害がぶつかりあうことになりかねないので、代表者は生前に「退職金規程」を作成しておくことをお勧めします。

渋谷広志税理士事務所のサービス

 このように退職金を活用することで様々なメリットを享受することができる一方で、使い方を間違えると支給額が大きいだけに莫大な税金がかかる場合もあります。実際に活用する際はご相談ください。


 

このコラムは、平成26年10月25日時点の法令により作成しているため、今後の法改正により異なる取り扱いとなる場合があります。
また、専門的な内容を判り易くするため、敢えて詳細な要件などを省略していることもあります。本コラムに記載されている内容を実行する際は、当事務所までご相談下さい。