不動産所得がある方の相続のお手伝いをしていると収入の帰属を勘違いしている事例に出くわすことがございます。今回のコラムはその点について注意喚起したいと思います。
賃貸収入は誰の収益?
親所有の土地に子供がアパートなどの収益物件を建てて子供の不動産所得として申告している例が多くあります。
少し郊外の方に行きますと、駐車場付のアパートを建築している例もあり、この場合の不動産所得の計算には注意が必要です。
その駐車場をアパートの賃借と区別して希望者に貸している場合は、その駐車場の収入は土地所有者(この場合は親)の収益となるケースもあるので気を付けましょう。
宅地の評価にも影響を及ぼす
アパートと駐車場を区別して賃借していることは、相続税の宅地の評価にも影響を及ぼします。宅地は一筆毎の評価ではなく、利用区分毎の評価であるため、アパートと駐車場を別々に賃貸している場合は、アパート部分と駐車場部分のそれぞれの宅地毎に評価することになります。
その結果、アパート部分と駐車場部分を一体で評価するよりも、それぞれの宅地の地形が悪くなることから評価額を下げることができ、節税になるケースもあります。
小規模宅地の特例にも影響が...
さらに、駐車場部分の宅地は貸付事業用宅地として小規模宅地の特例適用宅地として選択できる可能性があり、結果より節税になるケースもあります。
なお、アパート部分の特例適用には、アパート所有者(子供)と土地所有者(父母)の生計が一など一定の要件を満たす必要があります。
所得税の更正の請求により税金還付も!
このように、アパートと駐車場を別々に賃貸している場合は、収入の帰属先が違います。所得税は累進課税のため、所得を分散した方が節税できます。アパート所有者にまとめて計上している場合は、土地所有者の期限後(修正)申告とアパート所有者の更正の請求を組み合わせることで、土地所有者の納税額よりも多くの税金を還付できる場合もあります。
渋谷広志税理士事務所のサービス
この事例は、多くの相続税の申告を手伝ってきた事例の一事例にすぎません。また、土地所有者の相続税対策として入口を間違えてしまうと、効果がでない場合もございます。当事務所には多くのノウハウがありますので、是非ご相談くださいませ。
このコラムは、平成26年12月25日時点の法令により作成しているため、今後の法改正により異なる取り扱いとなる場合があります。
また、専門的な内容を判り易くするため、敢えて詳細な要件などを省略していることもあります。本コラムに記載されている内容を実行する際は、当事務所までご相談ください。