贈与税や将来の相続税を考慮して建物のみを贈与する場合がありますので、手続き上の留意点をまとめましたので参考にしてください。
1.贈与契約書は必ず作成する
相続時に、生前贈与した場合に争いになる事例で厄介なのは、身内(共同相続人)間によるものです。すなわち、生前贈与が被相続人の意志で行われたのか否か、受贈者が勝手に行っていないかの疑心暗鬼です。そんな疑心暗鬼を払拭するためにも、贈与の事実を証明する贈与契約書を署名入りで作成し、当該贈与契約書の原本は手許に大事に保管しておいてください。
なお、不動産の贈与契約書の作成に当たっては、印紙税法に定める印紙※を貼付することが必要です。
※印紙が貼付されていなくても、契約書そのものは有効です。
2.受贈者への教育
毎年、相当額の金銭贈与を行うことや、収益不動産を贈与することは、受贈者の金銭感覚を麻痺させかねません。受贈者が与えられた金銭を湯水のように使ってしまっては、何のための相続対策か本末転倒になってしまいます。
そうならないためにも、受贈者への教育はかかせません。また、受贈者にお金が残らない仕組みを作るのも効果的です。例えば、毎年、一定額の不動産収入がある場合は、その賃料収入を原資に、贈与者を被保険者とし、死亡保険金の受取人を受贈者とする生命保険契約に加入し、賃料収入をその保険料に充てます。こうすれば、毎年一定額が保険の形で貯蓄でき、かつ贈与者が死亡した場合には、その生命保険金は受贈者の一時所得となりますので、相続税の納税資金に活用でき、相続財産総額によっては、相続税よりも節税になるケースもございます。
3.借地権者の使用貸借であることの確認手続き
借地権を有する者(借地権者)からその借地権の目的となっている土地の全部を使用貸借により借り受けて、その土地の上に建物等を建築した場合などにおいて、その借受けが使用貸借に該当するものであることについて、その使用貸借に係る借受者、借地権者及び土地の所有者がその事実を確認し、その内容を借受者が申し出る手続です。
この確認手続きは、使用貸借にかかる借受者の住所地を所轄する税務署に、借地権を使用貸借により借り受けた後、すみやかに提出することになっております。
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このコラムは、平成28年3月25日時点の法令により作成しているため、今後の法改正により異なる取り扱いとなる場合があります。
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