「遺言執行費用は債務控除の対象となりますか?」

Q:私(長男)と弟は、父の遺言に従い相続財産を相続しました。
相続にあたり、遺言執行費用として執行人の弁護士等に報酬及び実費を支払いました。
この度、相続税の申告にあたり、この遺言の執行にかかった費用を債務控除しようと税務署で相談したところ、債務控除できないといわれました。
本当でしょうか?本当だとした場合、どうしてでしょうか?教えてください。

A:
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江東区門前仲町の税理士 渋谷広志(しぶやひろし)です。




ご質問ありがとうございます。
まず、結論から申し上げますと、税務署職員の説明は正しく、遺言執行費用は相続税の申告において債務控除することができません。
相続税法では、債務控除の対象となる債務は、被相続人の債務で相続開始に現に存するものとされているため、相続開始に発生する遺言執行費用は、法律の要件に該当しない解されています。

1.国税庁の説明

国税庁では、相続財産に関する費用は、債務控除にはならないと説明しています。(相基通13-2)
相続財産に関する費用とは、相続財産の管理や清算に必要な費用を意味し、遺言執行費用は相続財産の清算行為のためこれに該当します。



2.遺言執行費用の具体例

次に、遺言の執行に関する費用を例示すると、次のようなものがあります。

①遺言の検認手続費用
②相続財産目録調整費用
③相続財産の管理費用
④遺言執行者に対する報酬及び家庭裁判所が選任した遺言執行者の職務代行者に対する報酬
⑤遺言の執行に関連してなした訴訟費用



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このコラムは、2020年6月25日時点の法令により作成しているため、今後の法改正により異なる取り扱いとなる場合があります。
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