「遺産の分割後に新たな財産が発見されたのですが・・・」

Q:父が 今年の8月に 死亡して 私、母、姉及び弟の4人が遺産の協議分割により、それぞれ次のように分配することになり相続税の申告もいたしました。

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ところがその後になって、姉及び弟の相続した宅地の坪数が不足しており かつ叔父の会社の債務の抵当に入っていることが判明しました さらに預金が1,000万円あることが判明し協議分割のやり直しをして次のようになりました。

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この場合、貸宅地については、まだ登記をしていないので直接甲と乙に登記することにしたいのですが、贈与税の問題は生じないでしょうか?

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江東区門前仲町の税理士 渋谷広志(しぶやひろし)です。


ご質問ありがとうございます。

一度、遺分割協議をしたけれども、その協議の前提となる相続財産に重大な誤りがあったので、改めて遺産分割協議をやり直した。
その際の課税関係が心配でご質問にいらっしゃったのですね。

回答いたしますと、残念ながら、遺産分割協議については、通常はやり直しは認められません。したがって、最初に行われた遺産分割協議が有効になされたものである限り、その分割によって取得した財産はそれぞれが完全に所有権を取得したことになるものと考えます。
そうすると、ご質問の場合には当初の遺産分割協議の割合を超えて財産を取得した者(母及び私)が当初の協議分割の割合より少ない割合により財産を取得した者(姉及び弟)から財産の贈与を受けたことになり贈与税の課税の対象とされるのが原則です。

なお、財産が担保に入っていても、それ自体は債務ではないため債務控除の対象となりません。

しかし、
遺産分割協議に参加した者が相続権のない者であった
その相続人の意思表示に意思の欠缺、瑕疵があった

場合には当初の遺産分割協議が無効になるため改めて遺産分割協議をすることになります。

ただ、本件のように分割協議の対象となった財産に関する錯誤は、相続人に相続財産の調査権が与えられている(民法915条2項)ことを考慮すると、遺産分割協議は無効と主張するのは困難であると考えます。

当初の協議分割が有効とされる限りは、繰り返しになりますが、その協議に基づく分割方法以外の方法で遺産の分割をした場合には、相続人間においてその新たに遺産分割協議が整った時点で贈与・譲渡・交換等の契約がなされたことになり、その契約の内容によっては贈与税や所得税の課税関係が生ずる場合があるということになります。



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このコラムは、2019年11月30日時点の法令により作成しているため、今後の法改正により異なる取り扱いとなる場合があります。
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